「そんな……」

 あたしの手に持つトングから、するりとセロリがボウルに落ちた。

 周りから敬遠され、信頼していた従兄に裏切られ、母親は病気に、そして……家族を殺された……そんな人生、あたしには受け入れられない──!

 震える身体をタラが抱き留めてくれる。

「大丈夫ヨ。その分ワタシと、王宮勤めになったツパイが、沢山愛情を注いできたつもり。そして今はラウルを大好きなピータンとアイガーと……アナタが居る。きっと大丈夫だから心配しないで」
「はい……はいっ……」

 あたしはもう一度タラの胸に顔を(うず)めた。

 泣くな、泣くな! 哀しいのはあたしなんかじゃないんだからっ──!!



■此処までお目通しくださり誠に有難うございます。

 以前の連載時には第一話の冒頭ユスリハ単独イラストの後に、以下のキスシーン・イラストを置いておりましたが、今回は外させていただきました。
 今話でその時の回想が入りましたので、こちらに置かせていただきます。



 お手数ですが引き続き、二人の行く末を何卒見届けてくださいませ。