「ぷっは! ……ち、違いますって! あいつはあたしを連れてきたくて操っただけなんです!!」

 あたしはようやく呼吸を回復し、真っ赤になった顔で釈明した。紅い理由はキスされたことを知られたからなのか、あんなに柔らかいバストに触れたからなのか、はたまた呼吸困難に陥ったからなのかは良く分からない。

「それは違うと思うわヨ?」
「え?」

 けれどタラはあっさりとあたしの推理を否定した。

「だってあの子、アナタのこと、三年近くも前から知ってるのヨ? よっぽど会える日が待ち遠しかったんじゃない?」
「いえ、でも……彼が知っているのは八歳のあたしで……」

 そうよ……そんな子供のあたしに恋なんて──。

「まぁネ。でもウェスティもラウルも、八歳のアナタに恋したのは間違いないわ。キッカケがたとえジュエル継承の血に依るものだとしても、決定権は宿主にあるのヨ。そうして恋してきたアナタと出逢えた……あの子もたまにはワガママ言いたくなったのかもネ? どちらにせよ大人になったアナタに今でも恋してるんだから一安心ヨー! 二人共ロリコンだったらどうしようかと思っちゃったわ!」
「えぇっ……」

 あっけらかんと笑い転げるタラを目前にして、あたしはどうとも出来ない表情をしてしまった。少なくともウェスティはタラの昔の恋人なのだ。今は敵対する相手だとしても……気持ちの良い話ではないに違いない。