「おはようございます、タラさん。あの、昨夜は本当にありがとうございました!」

 あたしの後にツパイが入浴を終えた頃、ラヴェルの美味しい朝食が出来上がり、その匂いに誘われたのか、タラさんが自分のカプセルから這い出してきた。って、やっぱりあの透け透けネグリジェ着てるんだ! けれど胸元はチューブトップで隠されていて、下も柔らかそうなショートパンツを履いていた。その姿を一瞥し、あたしはついホッと息を吐いた。

「ヤァだ、「さん」なんて付けないでー! タラで十分ヨ」
「は、はいっ」

 タラさん……じゃなくて、タラは昨夜あたしが泣いている間、こちらに移ってワインを呑みながら時間を潰していたらしい。二本目のボトルが空になる手前で、あたしを抱えたラヴェルが戻ってきたそうで……。

「もうっあんまり長いから、二人でイイコトでもしてるんじゃないかって~覗きに行こうかと思ったところだったのヨネー」

 焼き立てのベーグルを頬張りながら、ニヤニヤした視線と笑みを向けられた。一瞬理解出来なかったあたしは、それでもさすがに言葉の意を汲み、

「ち、違いますしっ! そ、そうだとしても、覗きになんて来ないでください!!」
「ふうん~?」

 こんなシチュエーションに慣れないあたしの言い訳は、益々疑惑を深めた気がした……。

 タラが戻ってきてから初めてツパイが目を覚ましたので、こんな賑やかな食卓は初めてだ。なのにラヴェルは相変わらず、にこやかな笑みを顔の表面に乗せ、あたし達のたわいもないやり取りを楽しそうに聞いているだけだった。