浅い眠りの中であたしの心は、得ることの出来た沢山のピースを並べ始めた。

 でも全ては嘘であってほしいと願っていた。両親の死、ウェスティの全て、タラさんとツパイの過去、そしてラヴェルの辛い生い立ちも……全てが嘘ならば、あたしは此処に居る筈もないのに。

 ウェスティの口から聞けば、きっと全ては否定される。けれど今度はラヴェルが『悪』となるのだろう。敵対している二人。でも元を辿れば従兄弟(いとこ)同士なのだ……そんなのって……哀し過ぎる。

 どちらが本当なのだろう? そう言えば……金貨の出所を訊くの忘れちゃったな……。ツパイの長い物語は、作り話とは思えなかった。それとも所々が嘘なのだろうか? 出来れば……自分が嘘だと思いたい部分だけ、嘘であって欲しかった。

 やがてまどろみが深い水底に落ちてゆき、横たわった身体は静かな揺らぎを受け流した。夢から覚めた時、あたしはウェスティと対峙出来るだろうか? いや……まだ無理な気がする……それでなくとも以前ラヴェルに言われたっけ──「ユーシィはすぐ顔に出ちゃうから」──そんなあたしが隠し通せるのだろうか?

 けれど『脅威』は既に近付いていた。二度のノックに思わず飛び起きてしまう。取り急ぎの返事をして、布団の中にピータンを隠した。テーブルの上の食い散らかされたフルーツを慌てて片付け、それでも見えないように扉を少しだけ開いた。