『さて……かなり長居をしました。そろそろ通信を切らないと、さすがにウェスティに気付かれるでしょう。ユスリハ、もう一度集中してください。これからは貴女にしていただきたいことを伝えます』
「う、うんっ」

 あたしは改めて目を(こす)り、背筋を伸ばして座り直した。緊張の波が中心から末端へと流れてゆく。

『まず……心穏やかになるまで、出来るだけウェスティとは会わないでください。少しでもこちらの接触を勘付かれれば「計画」が泡と化します』
「計画?」

 つい話途中で尋ねてしまった。

『はい。既にラヴェルは城の敷地内に潜伏しているのです。その外堀でタラも待機しています。良いですか? ユスリハ。朝陽が昇るまでに、貴女はどちらを信じるのか決めてください。今は未だウェスティも、迷い戸惑う貴女のお陰で油断をしています。そんな状況下でこちらの救助が現れても、貴女は逃げない筈だと思っているのです。ですから……何か一つでもこちらが真実なのだという証拠を見出してください。良いですね?』
「……そ、れは──!」

 相当ハードルが高いのではないですか? ツパイさん??

 あたしは言葉半ばにして固まってしまった。