それから小一時間、和やかな散策と食事は終わりを告げ、落ち着きを取り戻したあたしは、昨夜の不眠を理由に部屋で休ませてもらうことにした。もちろんおやつ代わりに戴きたいと、沢山のフルーツを籠一杯受け取って。

 けれど実際は心穏やかに戻った訳じゃない。単に目の前の衝撃を端へ押しやっているだけだ……ラヴェルの盗んだ目的と、ウェスティの取り戻した方法──つじつまは合っていて、何の矛盾もない。

「ピータン……何処?」

 扉を開き振り向いて、廊下に誰も居ないことを認めて声を掛ける。鍵がないのが残念だけど、きっと声は洩れていないだろう。

「ピータン? ねぇ~ピータンったら!」

 どうしよう……布団をめくっても、クローゼットの引き出しを開いても見当たらない。此処に居ないとしたら廊下へ出たのか、それとも窓の外へ?

 あたしは慌てて窓際へ走り、血眼になって探し回った。何処か隙間から出ていっちゃったのかしら……もしそうだとしたら、ちゃんと戻ってくるだろうか!?