ツヤが訊ね、ヴィンセントが真っ先に「無事です!」と答える。イヅナも頷き、レオナードも怪我はしていなさそうだ。

「でも、あの巨人に手も足も出なかった……!」

レオナードが悔しげに言う横で、ムサシが「フン。何がアレス騎士団だ。役に立ってないじゃないか」と青ざめた顔で言う。事実と言えば事実なのだが、心ない言葉にイヅナの心がズキンと音を立てる。すると、ツヤが「いい加減にしろ!」と言いながらムサシを睨む。

「あんな揺れの中、動けるわけがないだろう。アレス騎士団は神じゃないんだ!全てに臨機応変に対応できるわけじゃない」

「何だと!?俺の言うことを聞かないなら、お前らは野宿だぞ!いいのか?」

「構わない。お前みたいな人間と同じ空気を吸いたくないからな!」

ツヤがそう言うと、ムサシは喚き散らしながら車に乗り込み、車は勢いよく走り去っていく。

「フン!」

鼻を鳴らすツヤだったが、ヴィンセントが「どうするんですか……」と真っ青な顔で呟く。