妖と人の和解を壊した元凶であるミツヒデ・シノノメたちとの戦いから、一年の月日が流れた。

だが、ミツヒデたちを拘束しても、妖にされた人間や理性を奪われた妖たちが元に戻るなどという都合のいい話はなく、ツヤ・シノノメが薬を作っている最中である。そのため、アレス騎士団の忙しさはあまり変わっていない。

しかし、妖と戦うにはしっかりとした休息を取ることも必要である。イヅナたちは、ギルベルト・エーデルシュタインに誘われ、彼の別荘に足を運ぶことになった。

「休暇をこんなところで過ごせるなんて、本当にラッキーだよなぁ」

ハンモックに寝転がり、レオナード・ロマーナがフフンと鼻歌を歌う。さながら自分の家のようにくつろぐその姿に、イヅナは「レオナード、私たちは招待されている身なのよ」と呆れてしまう。

「イヅナの言う通りだよ。僕たちはお客さんだけど、この別荘はギルベルトさんのなんだから」

ヴィンセント・レゴシもレオナードを注意する。だが、「あいつは好きにしろと言っていたぞ」と言いながら、ツヤがワインの蓋を開けて昼間からイヅナたちの近くで飲み始め、レオナードは「よっしゃあ」と言いながらさらにだらけてしまう。