独身主義女の恋と結婚

『今日は遅くなるから、部屋で待ってて』

彼からメールが届いた。

本命がいても関係を続けるの?

それとも別れ話?

自分の中で、会いたい気持ちと逃げ出したい気持ちがせめぎ合う。

結果、会いたい気持ちが勝り、私は、残業後、彼の部屋へと向かっている。

途中、通りがかった牛丼屋で1人で食事をする。

夜8時に1人で牛丼を食べてるなんて。

あの子はきっとしないんだろうな。

きっと、こういうところが男性からかわいいと思われない原因なんだろう。

でも、仕方ない。

これが私なんだから。

食事を終えて、彼の部屋へ合鍵で入る。

1人で待っていてもやることがない。

テレビを見る気にもなれず、私は鞄からタブレットPCを取り出すと、仕事を始めた。

やはりこれが一番気が紛れる。

22時を回った頃、彼が帰ってきた。

「ただいま」

帰るなり、彼は右手に鞄を持ったまま、左手を私のうなじに添えると、そのままかがんで、私の唇に甘い温もりを落とす。

いつもと変わらない彼。

このまま続けるってこと?

分からない私は、不安なまま離れていく彼を見つめる。

「ん? どうした、そんな寂しそうな目をして?」

彼は床に鞄を置くと、再び私にくちづける。

今度は深く……

空いた右手が私の膨らみに触れ、頂きをまさぐる。

一瞬で体の芯に熱が灯る。

彼といられるなら、このままでもいい。

彼女には申し訳ないけど、このまま知らないふりをしてしまおう。

「風呂、一緒に入ろう」

ほんの少し唇を離した彼が囁く。

けれど、返事をする間もなく、再び私の唇は塞がれてしまった。

彼は満足するまで私の唇と舌を楽しむと、

「着替えたら行くから、風呂で待ってて」

そう言って寝室へと向かった。

私はパタンとタブレットPCを閉じると浴室に向かう。

ほんとにこれでいいの?

自問自答を繰り返すけれど、私の良心は、彼と一緒にいたい願望に勝つことはできなかった。

私が髪を洗っていると、浴室の戸がノックされた。

私は一瞬、シャワーを止める。

その直後、ガタンと折り畳み式のドアが開いて、彼が入ってきた。

「洗ってやるよ」

彼は、私の手からシャワーヘッドを取り上げると、そのまま私の髪をすすぎ始めた。

私の頭皮に触れる彼の指が心地いい。

体を洗い終えた私たちは湯船に浸かる。

彼に背中から抱きしめられて浸かる私は、彼にされるがまま刹那の快楽に身を委ねる。

想いが成就しないことは分かっていても。

そうして私たちは、いつも通りの週末を過ごした。

金曜の夜から月曜の朝まで、一緒にDVDを見たり、一緒に料理をしたりして過ごしながら、彼に求められるまま何度も絶頂を味わう。