「この娘、梨香さんは、幼少期から知能が高く、今ではIQ270を超える高い知能を持っています。それ故に、僅か5歳で父親の不正にまみれた姿に醜さを感じ、生きて来ました。私が話した事故の真実は、全て梨香さんから教えてもらったものです❗️」
「なに?梨香…お前が⁉️」
義光の驚嘆と同じく、あちこちで声が上がる。
「あの娘が…この騒ぎの主犯❗️」
紗夜が思わず言葉にした。
「いい勝負ね私と。それで全て納得だわ」
ヴェロニカの疑問が消えた。
それは、天才と呼ばれる者でしか、実感できない思考と心理かも知れない。
紗夜はそう感じた。
「ふぅ〜」
(来た…)
梨香のその呼吸一つで、紗夜は悟った。
少女がカメラの前に、父親の前に立った。
ゆっくりと顔を上げる。
「なんて目ぇしてやがる」
豊川だけでなく、誰もが感じた。
「ごくり…」
生唾を飲み込む人々。
「香織さん、恭子さん、公紀さん、被害者のお父さん、お母さん、ありがとう」
土屋が軽く会釈して下がる。
と同時に、梨香が跪《ひざまず》いた。
「まずは、謝ります。ごめんなさい」
「ゴン」額が床に当たる。
理解できない人々。
「私には出来ないわ。負けたかも…」
ヴェロニカの本心である。
(それほどに、彼女は苦しんだのね)
紗夜の想いに、昴も頷く。
そして立ち上がった。
「父さん、私は5歳の時に初めて、あなたが汚いお金を渡すところを見た。それにへり下る情けない大人達も。保育園は楽しかったよ。そんな汚れた家から出て、無垢《むく》で純粋な子供達を見てると、嫌な想いを忘れられたんだ」
咲や淳一達も帰って来た。
「幼稚園児が想うことかよ?」
「でもね、それも束の間。どこに逃げてもアンタの影が着いて来た。まるで腫れ物に触るみたいにへり下る園長や先生。友達なんかできるはずもない。無垢な子供故に、嫌いな者には白目を向けるんだよ。分かる?アンタに?」
威圧的な瞳に、体を引く義光。
「分かる訳ないよね、大人は嫌なものでも簡単に受け入れちゃうんだから。もちろん、違う人もいる。アンタはそんなこと、気にもしないからね」
「う…うるさい❗️だいたい、親に向かってアンタとは何だ❗️」
虚しい抵抗であった。
「くだらない。アンタと話す為に、コレをやったんじゃない。話を戻そう」
騒めきはない。
ただ彼女の言葉一つ一つが、大人達の心に突き刺さっていた。
「あの日はね、アンタが仕組んだ催しを、ブチ壊して、困らせてやろうと思ったんだ。子供らしいでしょ?だから、久米山さんに頼んで、私を誘拐してもらった」
「何だと⁉️」
「マジか⁉️」
「久米山さんはいい人だったよ。私の想いを分かってくれたんだ。6歳の私に、4人の大人が力を貸してくれた。もちろん対価は払ったけどね。わざと直ぐに捕まり、誘拐未遂、更に私の依頼だと告げれば、簡単に終わるはずだったんだ…それだけで良かったのに」
奥歯を噛み締め、悔しげに目を閉じる。
(初めて…初めて感情を見せた)
(でも…何かが違う)
「あんな大事故が起こるとはね。ハハハ」
笑った。
「それを聞いた時、生まれて初めて、大声で笑えたんだ。いつも白い目で見ていた奴らが、み〜んな死んでしまって。予定以上にアンタも困るだろうと思うと、嬉しくてたまらなかったよ」
「狂ってるわ❗️」
咲が歯を噛み締める。
「ちがう…あれは、違う!」
紗夜には分かっていた。
「さすがIQ270ね、なかなかやるわ」
ヴェロニカも気付いていた。
同情、嫌悪、疑念、侮蔑、憐れみ。
様々な感情が人々の心に渦巻いていた。
「なに?梨香…お前が⁉️」
義光の驚嘆と同じく、あちこちで声が上がる。
「あの娘が…この騒ぎの主犯❗️」
紗夜が思わず言葉にした。
「いい勝負ね私と。それで全て納得だわ」
ヴェロニカの疑問が消えた。
それは、天才と呼ばれる者でしか、実感できない思考と心理かも知れない。
紗夜はそう感じた。
「ふぅ〜」
(来た…)
梨香のその呼吸一つで、紗夜は悟った。
少女がカメラの前に、父親の前に立った。
ゆっくりと顔を上げる。
「なんて目ぇしてやがる」
豊川だけでなく、誰もが感じた。
「ごくり…」
生唾を飲み込む人々。
「香織さん、恭子さん、公紀さん、被害者のお父さん、お母さん、ありがとう」
土屋が軽く会釈して下がる。
と同時に、梨香が跪《ひざまず》いた。
「まずは、謝ります。ごめんなさい」
「ゴン」額が床に当たる。
理解できない人々。
「私には出来ないわ。負けたかも…」
ヴェロニカの本心である。
(それほどに、彼女は苦しんだのね)
紗夜の想いに、昴も頷く。
そして立ち上がった。
「父さん、私は5歳の時に初めて、あなたが汚いお金を渡すところを見た。それにへり下る情けない大人達も。保育園は楽しかったよ。そんな汚れた家から出て、無垢《むく》で純粋な子供達を見てると、嫌な想いを忘れられたんだ」
咲や淳一達も帰って来た。
「幼稚園児が想うことかよ?」
「でもね、それも束の間。どこに逃げてもアンタの影が着いて来た。まるで腫れ物に触るみたいにへり下る園長や先生。友達なんかできるはずもない。無垢な子供故に、嫌いな者には白目を向けるんだよ。分かる?アンタに?」
威圧的な瞳に、体を引く義光。
「分かる訳ないよね、大人は嫌なものでも簡単に受け入れちゃうんだから。もちろん、違う人もいる。アンタはそんなこと、気にもしないからね」
「う…うるさい❗️だいたい、親に向かってアンタとは何だ❗️」
虚しい抵抗であった。
「くだらない。アンタと話す為に、コレをやったんじゃない。話を戻そう」
騒めきはない。
ただ彼女の言葉一つ一つが、大人達の心に突き刺さっていた。
「あの日はね、アンタが仕組んだ催しを、ブチ壊して、困らせてやろうと思ったんだ。子供らしいでしょ?だから、久米山さんに頼んで、私を誘拐してもらった」
「何だと⁉️」
「マジか⁉️」
「久米山さんはいい人だったよ。私の想いを分かってくれたんだ。6歳の私に、4人の大人が力を貸してくれた。もちろん対価は払ったけどね。わざと直ぐに捕まり、誘拐未遂、更に私の依頼だと告げれば、簡単に終わるはずだったんだ…それだけで良かったのに」
奥歯を噛み締め、悔しげに目を閉じる。
(初めて…初めて感情を見せた)
(でも…何かが違う)
「あんな大事故が起こるとはね。ハハハ」
笑った。
「それを聞いた時、生まれて初めて、大声で笑えたんだ。いつも白い目で見ていた奴らが、み〜んな死んでしまって。予定以上にアンタも困るだろうと思うと、嬉しくてたまらなかったよ」
「狂ってるわ❗️」
咲が歯を噛み締める。
「ちがう…あれは、違う!」
紗夜には分かっていた。
「さすがIQ270ね、なかなかやるわ」
ヴェロニカも気付いていた。
同情、嫌悪、疑念、侮蔑、憐れみ。
様々な感情が人々の心に渦巻いていた。



