暴走環状線

ヴェロニカは気にかかっていた。

「紗夜さん。もしこいつらへ復讐するなら、なぜ最初に狙わないかな?私ならそうするわ」

「ジワジワ周りから追い詰める、ってやつじゃねぇか?」

「なるほどね〜そんなものかな」

「とにかく、私達は周りの人達を守りましょ」

「そうね、紗夜の言う通り、走り続けてる内は大丈夫だし、どうしようもないんだから、爆発を想定した避難に全力を❗️」

「あ、咲さん、昴ちゃん借りていい?」

「はい?…まぁお好きにどうぞ!」

出て行く咲達。

「昴、裏サイト利用して犯人とコンタクトするから、手伝ってくれる。なんかおかしいのよね」

「そんなことしてるより、助ける方法を…」

「誰を?あの3人、犯人?」

「いえ、まずは乗客でしょう!」

「富士本さん、犯人達って無関係な人を意図的に殺してる?」

急に問われて慌てる富士本。

「岐阜の事故では、死者がでてもおかしくなかった」

「あれね、あれは事故よ」

「だから、その事故で…あっ」
昴も気が付いた。

「山岸さんは事故で死んだんじゃないのよね。本当は、可児駅ってとこで、待ってる間に死ぬはずだったのよ。でも予想外に早く気を失った。豊川さんの検死報告書を見たわ。彼はきっと睡眠薬か強い安定剤を服用してたわね。だから、河豚毒のテトロドトキシンが回るのが早かった」

「その通りだ」

「うわっ❗️」驚く昴。

「まだいたんですか💦」

「俺の出番は死人が出てからだ。おいあんた、うちへ来ねぇか?」

「アハっ、ムリムリ、私は死体なんてムリ」

「交番の水口さんは殺されているが…」

「調べたのよ公安へ行って、彼は相沢部長の手下よ。目黒の見張り役。だから戸澤は殺した」

「行ったんですか?その格好で💦」

「この格好だから、行けたのよ。協力的ないい方達じゃない。それからもう一つ分かったわ。菅原を押し込んだのは、秘書の土屋香織。菅原の前は時任の秘書、その前は相沢の秘書。おかしいでしょ?で、その前は…戸澤の奥さん」

「マジですか⁉️」

「冗談で言えること?娘が死んで、計画的に別れ、戸澤が相沢に近づけた。悲しい計画よね」

「やっぱりうちへ…」「ムリ!」

思い切った様に立ち上がる。

「ハッキリ言って、乗客達は大丈夫よ。犯人達は、無差別殺人者じゃないわ。違ってたら、鑑識班でも公安でも行ってあげるわよ、以上❗️」

作業に戻るヴェロニカ。
唖然とする3人。

「私はね…可哀想なあの犯人達に、死んで欲しくないの。死んじゃいけないのよ…」

ボソリと囁いた。

(えっ?…まさか)
ヴェロニカの心が見えた。

「手伝います」

心のスイッチが入った昴であった。

車に乗りながら、ヴェロニカの疑問が気になり、集中して聴いていた紗夜。

(まさか…でも確かに…)

紗夜には、ヴェロニカの微妙な心理の疑問。
その理由と意味が分かった。