片付けは夜までかかっても完全には終わらず、夕食を作るどころではなかった。私たちは結局近所のレストランで夕食を済ませ、部屋に戻った。
「ひとまず、寝室周りと風呂回りは片付いた。明日も休みだし、今日はこの辺にしておくか」
「うん。兄と瑠衣さんの挨拶が昼だって言うから、その時だけ私も実家に顔を出してくるね」
「ああ、そうしろよ。挨拶、うまくいくといいな」
「本当にね」
私は高鳴る鼓動を感じながら、ふうと息をつく。段ボールを端に寄せて整理している瑛理に思い切って声をかけた。
「ねえ、瑛理。ちょっといい?」
振り向いた瑛理を手招きで呼ぶ。冷蔵庫を開けて、まだ片付いていないキッチンカウンターにスパークリングワインのボトルを置いた。用意しておいたワイングラスも持ってくる。
「あの、同居のお祝いに。乾杯だけしない?」
「用意してくれたのか?」
「うん」
片付けが終わらないことは想定していたので、せめて乾杯はしようと準備していたのだ。
瑛理がボトルを開けて、華奢なグラスにワインを注いでいく。白い泡と黄金色の液体にダイニングの柔らかなオレンジの光が反射して綺麗だ。
「乾杯」
短く言葉を交わしてワインを口に運んだ。
グラスを置くと、意を決して瑛理を見た。伝えよう。ずっと隠してきた気持ちを。
「瑛理、私ね。この前、ちゃんと言えなかったことがある」
勢いがつきすぎて怒鳴るような声になってしまった。慌てる私と、どこか緊張の面持ちの瑛理。唇を真一文字にして私の言葉を待っている。
「ひとまず、寝室周りと風呂回りは片付いた。明日も休みだし、今日はこの辺にしておくか」
「うん。兄と瑠衣さんの挨拶が昼だって言うから、その時だけ私も実家に顔を出してくるね」
「ああ、そうしろよ。挨拶、うまくいくといいな」
「本当にね」
私は高鳴る鼓動を感じながら、ふうと息をつく。段ボールを端に寄せて整理している瑛理に思い切って声をかけた。
「ねえ、瑛理。ちょっといい?」
振り向いた瑛理を手招きで呼ぶ。冷蔵庫を開けて、まだ片付いていないキッチンカウンターにスパークリングワインのボトルを置いた。用意しておいたワイングラスも持ってくる。
「あの、同居のお祝いに。乾杯だけしない?」
「用意してくれたのか?」
「うん」
片付けが終わらないことは想定していたので、せめて乾杯はしようと準備していたのだ。
瑛理がボトルを開けて、華奢なグラスにワインを注いでいく。白い泡と黄金色の液体にダイニングの柔らかなオレンジの光が反射して綺麗だ。
「乾杯」
短く言葉を交わしてワインを口に運んだ。
グラスを置くと、意を決して瑛理を見た。伝えよう。ずっと隠してきた気持ちを。
「瑛理、私ね。この前、ちゃんと言えなかったことがある」
勢いがつきすぎて怒鳴るような声になってしまった。慌てる私と、どこか緊張の面持ちの瑛理。唇を真一文字にして私の言葉を待っている。



