あの日だって私の好意はある程度伝わっていたと思う。だけど、言葉にしそびれてしまった。
あのタイミングで私からも告白しておけばよかった。こうして仕切りなおしてみると、「好き」という機会が本当にないのだ。

メッセージで送ることも考えた。
でも、記念すべき告白をメッセージで済ませていいものか。こじらせた初恋のゴールなのだから、しかるべき形で伝えたい。
瑛理が真っ赤な顔で頑張って伝えてくれたように。

それにしても、告白してくれたときの瑛理、本当に格好良くて可愛くて、愛おしかったなあ。私と同じで、片想いだと思っていたから好意を見せないようにしてきたという瑛理。
結婚する前に素直になっていれば、私と瑛理は今頃ラブラブ新婚生活だったのではなかろうか。いや、少し遅れたけれど、伝え合えたのだからよかった。
これから、ふたりの愛情を深めていけばいい。そのために私は、完璧に瑛理に気持ちを伝えなければならない。
想いを新たに引っ越し準備をするのだった。



予定通りのゴールデンウィーク某日、私と瑛理は上野のマンションに引っ越してきた。
荷物をそれぞれ業者に運び込んでもらい、一緒に買いそろえた日用品も合わせて整理していく。

昼過ぎに兄と誠さんがそれぞれ様子を見に来てくれた。誠さんは陣中見舞いだよとシュークリームを持って。四人で片付けの合間に缶コーヒーとシュークリームで休憩をした。