その日から私と瑛理は、再び同居に向けて動きだした。
両親と祖母には瑛理との喧嘩が終わったことを報告した。兄には今までの経緯をしっかり話した。
瑛理と気持ちが通じていないと思っていた。それで離婚も考えていた。

「だけど、両想いだったみたい」

そう告げると、兄は心底不思議そうな顔で答えた。

「何を言ってるんだ? 俺も誠も美優も、柊子と瑛理は両想いだと思ってたけど」
「え?」
「喧嘩するほど仲がいいっていうか。……思春期頃からお互いものすごい意識し合ってたじゃないか」

まさか……当人たちだけが気づいていなかったというの? 
思えば、河東くんにもあっという間に気づかれてしまったし。私と瑛理って、ものすごくわかりやすくて、ものすごく鈍感なのでは? 

一方で、河東くんにも瑛理と気持ちが通じたことを伝えた。
メッセージアプリで返ってきたメッセージはこんな感じ。

【おめでとう! 俺、失恋じゃん!
でもおめでとう! 言ったでしょ、志筑は柊子ちゃんが好きだって。
これからはあんまり連絡とらないほうがいいね。志筑も嫉妬しちゃうし。
志筑に飽きたらいつでも俺に声かけてね】

どこまでもいい人だ。河東くんについては、いつか絶対に瑛理の誤解を解いておきたい。瑛理が敵視して嫌うような人じゃないんだって伝えなければ。
河東くんとの友情にじんとしていると、追加でメッセージがきた。

【そういえば、柊子ちゃんからは好きだって伝えそびれちゃったんでしょ。
それは早く言ってあげなね。
志筑、まだ片想いだって思ってるかもよ】

ぎくんとしてしまう。そうだ。河東くんの言う通り。