離婚却下、御曹司は政略妻を独占愛で絡めとる

「私のことなんかどうでもいいのかと思ってた……。瑛理、意地悪だし、いつも仕方なく一緒にいるって感じだったじゃない」

言いながら涙がこみあげてきた。信じられない。瑛理が私のことを好きだなんて。

「俺的には、意地悪してるつもりはなかったんだけど。……あとは片想いだったし……俺ばっかり一方的に好意を見せてたら、おまえも嫌だろうと思って」

それであんな素っ気ない態度だったの? 私は瑛理に好かれる要素がないんだと思っていたのに。私の方こそ片想いだと思っていた。
涙があふれて止まらない。私も気持ちを伝えなきゃいけないと思うけれど、言葉にならない。

「あのさ、俺のこと、嫌いではないんだよな」

瑛理がおずおずと尋ねてくる。まだ赤い頬をしている。私もまた赤面したままうれし涙を流しているのだから、きっと言葉にしなくても気持ちは透けてしまうだろう。

「う……うん、……大事……に思ってる」

しゃくりあげながら精一杯紡いだ言葉に、瑛理が感極まった様子で唇をかみしめるのが見えた。

「じゃあさ、俺と……その、……夫婦ってことで……やっていかないか?」

言葉がうまく出てこない代わりに、私は何度もうなずいた。
瑛理がものすごく小さい声で「やった」とつぶやくのが聞こえた。その子どもみたいな態度が愛しくて、また涙が出てしまった。