「家のためでしょう? 家族のために波風を立てたくないだけでしょう? 私と瑛理が離婚したら、みんな驚くし慌てる。古賀家と志筑家の不仲に通じるかもしれない。そこを心配してるんでしょう?」
「違う!」
「違わないじゃない。適当な言葉でごまかさないで。私のことなんかどうでもいいくせに!本当のことを言ってよ!」
「俺が……柊子を好きだから」
そのかすれた言葉に私は足を止め、弾かれたように見上げた。
私はこの問答が始まってから初めて瑛理の顔を見た。その横顔は真っ赤だった。
「瑛理……?」
私は驚きすぎて自分の声が震えていることに気づいた。だって、瑛理の様子はどうみても冗談を言っているようには見えない。
「柊子のことが好きだから、同居したいし、夫婦でいたい。……それじゃ、理由にならないのかよ」
瑛理は口元を隠してぼそぼそと喋る、私の視線から逃げるように目をそらして。目元も耳も、首まで真っ赤だ。
「柊子が好きだ。ずっと、柊子のことが。結婚できて嬉しいし、この先も一緒にいたい」
「瑛理……私……」
「別に、おまえに同じだけの気持ちを求めてない。そこは、気にしなくていい。でも、俺は別れたくないから」
低い声で、でもはっきりと瑛理は言い切った。別れたくないという言葉の本当の意味を。
「違う!」
「違わないじゃない。適当な言葉でごまかさないで。私のことなんかどうでもいいくせに!本当のことを言ってよ!」
「俺が……柊子を好きだから」
そのかすれた言葉に私は足を止め、弾かれたように見上げた。
私はこの問答が始まってから初めて瑛理の顔を見た。その横顔は真っ赤だった。
「瑛理……?」
私は驚きすぎて自分の声が震えていることに気づいた。だって、瑛理の様子はどうみても冗談を言っているようには見えない。
「柊子のことが好きだから、同居したいし、夫婦でいたい。……それじゃ、理由にならないのかよ」
瑛理は口元を隠してぼそぼそと喋る、私の視線から逃げるように目をそらして。目元も耳も、首まで真っ赤だ。
「柊子が好きだ。ずっと、柊子のことが。結婚できて嬉しいし、この先も一緒にいたい」
「瑛理……私……」
「別に、おまえに同じだけの気持ちを求めてない。そこは、気にしなくていい。でも、俺は別れたくないから」
低い声で、でもはっきりと瑛理は言い切った。別れたくないという言葉の本当の意味を。



