「あ、美優から連絡あったか?」
兄が尋ね、俺はスマホを確認してから首を左右に振った。
「いや。姉貴、何かあったのか?」
「瑛理に話があるって昨日電話で言ってたぞ」
俺たち三兄弟は仲がいい。いや、兄と姉、そして古賀家の邦親さんという年長三人組がやたらと仲がいい。だからこそ、姉と邦親さんはお互いの本当に幸せのために、立場を顧みず婚約解消に動けたのだ。
柊子も俺に対して同じことをしたいのだろうか。
仲のいい幼馴染として、真の幸せにたどり着いてほしいと思っているのだろうか。俺はそれを柊子と叶えたいのに。
「近いうちに電話かメッセージが入るだろ。なんか書類がどうのこうの言ってたから、面倒くさい内容っぽいけど」
「兄貴、そのへん詳しく聞いてないのかよ」
「美優って考えながら喋ったり、自分の中だけで解決してることを喋ったりするだろ。頭いいやつってそうなのかな」
「姉貴が特殊なんだよ。ともかく、意味がわからなかった、と」
「そういうこと。だから、瑛理が話聞いて解読しな」
なんだか嫌な宿題を持たされてしまった。
その日の晩、外出から戻り帰ろうとエントランスまで降りたところで姉から電話があった。
俺は受話をタップしながら、社内の打ち合わせブースに移動する。この前柊子を待たせていたところだ。思った通り、この時間はすでに誰もいない。
『瑛理、私よ』
姉のきりっとした声。俺は答える。
「ああ、姉貴、元気にしてる? 用事があるって聞いてるけど」
兄が尋ね、俺はスマホを確認してから首を左右に振った。
「いや。姉貴、何かあったのか?」
「瑛理に話があるって昨日電話で言ってたぞ」
俺たち三兄弟は仲がいい。いや、兄と姉、そして古賀家の邦親さんという年長三人組がやたらと仲がいい。だからこそ、姉と邦親さんはお互いの本当に幸せのために、立場を顧みず婚約解消に動けたのだ。
柊子も俺に対して同じことをしたいのだろうか。
仲のいい幼馴染として、真の幸せにたどり着いてほしいと思っているのだろうか。俺はそれを柊子と叶えたいのに。
「近いうちに電話かメッセージが入るだろ。なんか書類がどうのこうの言ってたから、面倒くさい内容っぽいけど」
「兄貴、そのへん詳しく聞いてないのかよ」
「美優って考えながら喋ったり、自分の中だけで解決してることを喋ったりするだろ。頭いいやつってそうなのかな」
「姉貴が特殊なんだよ。ともかく、意味がわからなかった、と」
「そういうこと。だから、瑛理が話聞いて解読しな」
なんだか嫌な宿題を持たされてしまった。
その日の晩、外出から戻り帰ろうとエントランスまで降りたところで姉から電話があった。
俺は受話をタップしながら、社内の打ち合わせブースに移動する。この前柊子を待たせていたところだ。思った通り、この時間はすでに誰もいない。
『瑛理、私よ』
姉のきりっとした声。俺は答える。
「ああ、姉貴、元気にしてる? 用事があるって聞いてるけど」



