「河東くん、ライブ音響の会社しててね。地方のライブ会場を回ったことがあるから、宿を教えてくれたら近くで美味しいお店をって……」
「ばあちゃんの家も、宿も山奥だ。河東の知ってる店なんかないだろ」
「そ、そうかもしれないけどさ」
私がささっと返信してスマホをしまったのを見て、瑛理はタブレットに視線を戻した。
まだ不機嫌な横顔をしている。
私に興味があるわけじゃないくせに、河東くんが苦手だから、私が連絡を取り合うのが嫌なのだろう。妹の恋愛に口を出す兄みたいな感じだ。
だけど、交友関係に口出しされるのは気分のいいものじゃない。
というか本当のところ、河東くんと私は現在、ただの友達ではなくなっている。
彼は私の秘密を共有している相談相手。
河東くんは私の瑛理への好意に気づいてしまったのだ。まさかバレるとは思わなかった……。
同窓会のあと、河東くんからすぐに連絡がきた。おそらく最初は本当に私との恋愛目的だったのだろう。
うぬぼれでなければ、高校時代から河東くんとは結構仲がよかったし、彼の好意を感じたことも何度かあった。
焼け木杭に火がついたのか、懐かしさが恋の感情を綺麗に見せたのか……。ともかく河東くんは熱心に私を誘ってきた。
何度もいろんな理由で断りまくっていたら、突然こう言われた。
『実は、柊子ちゃんって志筑のこと好きでしょう』
驚いた。どうやら、河東くんは高校時代から私が瑛理を見ていたことに気づいていたようだ。隠し立てしてもしょうがないし、誘ってくれる彼への誠意のために、私は正直に白状した。
瑛理とは許嫁だったこと、片想いだから恋心を封印したこと、結婚した今でも好かれる可能性がないので将来的に離婚を考えていること。
『そうかな。同窓会で見る限り、志筑は柊子ちゃんのこと好きそうに見えたけどな』
河東くんは私を励ましたいのかそんなこと言い、『俺でよければ相談に乗るよ』と言ってくれたのだ。
「ばあちゃんの家も、宿も山奥だ。河東の知ってる店なんかないだろ」
「そ、そうかもしれないけどさ」
私がささっと返信してスマホをしまったのを見て、瑛理はタブレットに視線を戻した。
まだ不機嫌な横顔をしている。
私に興味があるわけじゃないくせに、河東くんが苦手だから、私が連絡を取り合うのが嫌なのだろう。妹の恋愛に口を出す兄みたいな感じだ。
だけど、交友関係に口出しされるのは気分のいいものじゃない。
というか本当のところ、河東くんと私は現在、ただの友達ではなくなっている。
彼は私の秘密を共有している相談相手。
河東くんは私の瑛理への好意に気づいてしまったのだ。まさかバレるとは思わなかった……。
同窓会のあと、河東くんからすぐに連絡がきた。おそらく最初は本当に私との恋愛目的だったのだろう。
うぬぼれでなければ、高校時代から河東くんとは結構仲がよかったし、彼の好意を感じたことも何度かあった。
焼け木杭に火がついたのか、懐かしさが恋の感情を綺麗に見せたのか……。ともかく河東くんは熱心に私を誘ってきた。
何度もいろんな理由で断りまくっていたら、突然こう言われた。
『実は、柊子ちゃんって志筑のこと好きでしょう』
驚いた。どうやら、河東くんは高校時代から私が瑛理を見ていたことに気づいていたようだ。隠し立てしてもしょうがないし、誘ってくれる彼への誠意のために、私は正直に白状した。
瑛理とは許嫁だったこと、片想いだから恋心を封印したこと、結婚した今でも好かれる可能性がないので将来的に離婚を考えていること。
『そうかな。同窓会で見る限り、志筑は柊子ちゃんのこと好きそうに見えたけどな』
河東くんは私を励ましたいのかそんなこと言い、『俺でよければ相談に乗るよ』と言ってくれたのだ。



