受付の女性が小さいサイズのお茶のペットボトルを出してくれた。来客じゃないのに申し訳ないなと思いつつ、私がこの大会社の次男の妻であることに思い至る。
なんだか今更だけど、私、瑛理と結婚したんだ。
瑛理なんか嫌い。だけど、本当はずっと好き。
私の中の相反する気持ちは中学生くらいからずっと渦巻いていて、苦しくてつらいから蓋をした。
本当は結婚すべきじゃなかった。親の手前と理由をつけて瑛理と結婚して、だけどやっぱりこんなのダメだと離婚したがっている。私は矛盾の塊だ。
それとも、このまま瑛理との結婚生活を続けようか。私は好きなのだから、瑛理の傍にいられたらきっと嬉しい。片想いでも抱き合ってしまえばいい。子どもが授かったら、瑛理は私のことをちょっとは好きになってくれるかもしれない。
今だって友人程度には見てくれるんだもの。
いいや、私ばかりが瑛理を好きでいてもつらいだけだ。いつか、瑛理に好きな人ができたとき、悲しい思いをするのは私と産まれる子ども。
それならこんな関係は、可能な限り早く清算したほうがいい。
「柊子、お待たせ」
顔をあげるとそこに瑛理がいた。上着を腕に引っ掛けて、ネクタイも緩めている。
私はとっさに立ち上がり、そのネクタイをきゅっと締めなおした。
「まだ社内でしょ。だらしない恰好しないの」
「誰も気にしてないって」
「この会社の御曹司なんだから、しゃきっとしなさい」
だいたいまだ四月なのに、ワイシャツ一枚ってどうしてよ。筋肉があると体温が高いのかな。
結構着やせする細マッチョなんだよなあと、思わず瑛理のワイシャツの胸をじろじろと見てしまう。
なんだか今更だけど、私、瑛理と結婚したんだ。
瑛理なんか嫌い。だけど、本当はずっと好き。
私の中の相反する気持ちは中学生くらいからずっと渦巻いていて、苦しくてつらいから蓋をした。
本当は結婚すべきじゃなかった。親の手前と理由をつけて瑛理と結婚して、だけどやっぱりこんなのダメだと離婚したがっている。私は矛盾の塊だ。
それとも、このまま瑛理との結婚生活を続けようか。私は好きなのだから、瑛理の傍にいられたらきっと嬉しい。片想いでも抱き合ってしまえばいい。子どもが授かったら、瑛理は私のことをちょっとは好きになってくれるかもしれない。
今だって友人程度には見てくれるんだもの。
いいや、私ばかりが瑛理を好きでいてもつらいだけだ。いつか、瑛理に好きな人ができたとき、悲しい思いをするのは私と産まれる子ども。
それならこんな関係は、可能な限り早く清算したほうがいい。
「柊子、お待たせ」
顔をあげるとそこに瑛理がいた。上着を腕に引っ掛けて、ネクタイも緩めている。
私はとっさに立ち上がり、そのネクタイをきゅっと締めなおした。
「まだ社内でしょ。だらしない恰好しないの」
「誰も気にしてないって」
「この会社の御曹司なんだから、しゃきっとしなさい」
だいたいまだ四月なのに、ワイシャツ一枚ってどうしてよ。筋肉があると体温が高いのかな。
結構着やせする細マッチョなんだよなあと、思わず瑛理のワイシャツの胸をじろじろと見てしまう。



