「嬉しい?」
「嬉しいに決まってるだろうが!」

顔をあげた瑛理が勢いよく立ち上がった。まだかがみこんでいる私を引っ張り起こし、そのまま抱き寄せた。
たくさんの人の行きかうテーマパークの大通り。熱烈なハグはさすがに恥ずかしくて、私は瑛理に意見する。

「瑛理、離して。目立っちゃうよ」
「妊娠をすぐに言わなかった柊子が悪い」
「でも~」
「大好きな女が俺の子を産んでくれるんだ。もう少し浸らせろよ」

その言葉に胸がきゅうっと甘くうずいて、私はそれ以上何も言えなくなってしまった。
どうもおめでたいことがあったようだと、近くにいた兵士の楽隊が私たちに向けて高らかにファンファーレを吹いてくれた。
集まっていた人たちにまで拍手され、私と瑛理は赤い顔でお辞儀をすることになるのだった。


私と瑛理のもとに可愛い女の子がやってきたのは、翌年の初夏のこと。