「あーあ、俺ってホントバカ。また振られるってわかっていながら言わずにいられなかったよ」
「河東くん、本当にありがとう」
「好きな子が悩んでるときに、ちょっと力になれたってだけでいいか。……あのね、柊子ちゃん、これは志筑に塩を送ることになるからあんまり言いたくないんだけど」
河東くんが身体を起こし、私に微笑んだ。
「男って格好つけたい生き物だから。志筑、仕事で色々あったんでしょ? さらに怪我もしちゃった。大好きな奥さんの前で弱ってるところを見せたくないんだよ」
「そんな……そういう意地を張られても」
「その意地ごと、柊子ちゃんには『甘えてくれてる』って取られてるのにね。志筑は馬鹿だねえ、あはは」
景気よく河東くんは笑った。彼の言う通りなら、瑛理は私に弱みを見せたくないから距離を取っているということになるの?
その時だ。
オフィスのドアを直接ドンドンと叩く音がした。
ハッと顔をあげると、河東くんが立ち上がり、ドアを開けた。そこにいたのは瑛理だ。左側に松葉杖を持ち、Tシャツの私服姿だ。
「瑛理……」
私を一瞥してから、瑛理はまず河東くんに向かい合った。
「河東、柊子は返してもらうぞ」
この様子だと、おそらく瑛理を呼んだのは河東くんだ。私が到着する前に連絡をしておいたのだろう。
「河東くん、本当にありがとう」
「好きな子が悩んでるときに、ちょっと力になれたってだけでいいか。……あのね、柊子ちゃん、これは志筑に塩を送ることになるからあんまり言いたくないんだけど」
河東くんが身体を起こし、私に微笑んだ。
「男って格好つけたい生き物だから。志筑、仕事で色々あったんでしょ? さらに怪我もしちゃった。大好きな奥さんの前で弱ってるところを見せたくないんだよ」
「そんな……そういう意地を張られても」
「その意地ごと、柊子ちゃんには『甘えてくれてる』って取られてるのにね。志筑は馬鹿だねえ、あはは」
景気よく河東くんは笑った。彼の言う通りなら、瑛理は私に弱みを見せたくないから距離を取っているということになるの?
その時だ。
オフィスのドアを直接ドンドンと叩く音がした。
ハッと顔をあげると、河東くんが立ち上がり、ドアを開けた。そこにいたのは瑛理だ。左側に松葉杖を持ち、Tシャツの私服姿だ。
「瑛理……」
私を一瞥してから、瑛理はまず河東くんに向かい合った。
「河東、柊子は返してもらうぞ」
この様子だと、おそらく瑛理を呼んだのは河東くんだ。私が到着する前に連絡をしておいたのだろう。



