気づいたときには、見知らぬ天井があった。
身体がうまく動かないと思ったのは一瞬で、首が動くことがわかる。身じろぎしてみて身体中が痛いことに気づいた。

俺はどうしたんだったっけ。

「瑛理」

声をかけられ、そちらを見るとそこには兄の姿。後ろに矢成と戸田が控えているのが見えて、俺は自分の状況を思い出した。ここは病院か。

そうだ。落ちてきた段ボールの下敷きになったのだった。
あちこち痛むのは、重たい段ボールがいくつか身体や頭にぶつかったせいだろう。気を失っていたなら頭でもぶつけたのだろうか。
点滴が刺さっている左手は動かさず、空いた右手で頭をさすると包帯が巻き付けられていた。

「申し訳ありませんでした!」

大声で叫んだのは戸田だ。頭を下げるだけでは飽き足らず、土下座をしている。

「俺のせいで志筑リーダーが。本当に申し訳ありませんでした!」
「戸田、おまえは怪我はないか?」

戸田も段ボールがぶつかっているはずだ。戸田は顔をあげ、首を左右に振る。

「志筑リーダーがかばってくれたおかげでたいした怪我はしませんでした。今回のこと、リーダーのお怪我も、すべて俺の責任です」

そう言って涙する戸田を矢成が立たせる。すると、兄がふたりに言った。

「ひとまずふたりは一度会社に帰りな。終業時刻過ぎてるし、早くあがるんだよ」

矢成と戸田は頭を下げて病室を出て行った。
言われてみれば、外はもう薄闇の時刻。昼過ぎの訪問から俺は何時間寝ていたんだろう。
兄が俺のベッド横の椅子に腰かけた。