謝罪はなるべく早い方がいい。しかし、スワドラッグの営業本部長は会うつもりはないと言い、店舗責任者も本社の意向に従うと言っている。
サタ運送はしづき株式会社よりよほど事態を把握し、重く見ていて、今回の件でスワドラッグへの配送担当から外れても仕方ないという言葉をもらった。うちの社内的な調整はいるが、これでひとまず交渉の余地が増えた。

ともかく店舗担当者と直接話をすべく、俺は戸田と矢成を伴い、スワドラッグの八重洲店へ向かった。
スワドラッグ八重洲店は、東京駅近くのビルの一階にあった。立地的にはかなり大きな店舗を構えている。店舗の裏手、雑居ビルの間に搬入口がある。この近くにサタ運送は車をつけて、商品を運んでいたという。

「段ボールを転がされましてね。まあ、元からあの運送会社はスタッフによって全然態度が違うんですわ。挨拶もしないやつがゴロゴロいます。あんな社員教育がなっていないところと付き合えませんよ」

八重洲店の責任者は五十代と思しき白髪交じりの男だ。戸田とも何度もやりとりをしているのだろう。あきれた様子を隠さない。

「しづきさんとも長い付き合いですがね。誠意のない態度を取られ続けると、こちらとしてもねえ」
「ごもっともです。事態の把握が遅れ、お詫びが大変遅くなったことを申し訳なく思っております」
「たいしたことじゃないって思ってたんでしょう? そういう馬鹿にした態度はどうかと思いますよ」