「部署再編の計画がある。おまえのいる営業部だ。一課と二課はしづきが薬問屋だった時代の流れを汲んで、医薬品、医療機器が商材だろう。ここを細分化する」
熱心な口調に、俺は息をのんだ。
「そのうちひとつをおまえに任せたいと思っている」
「社長、俺はまだ入社四年目の若造ですよ」
出世はあまり早くない方がいい。妬みや嫉みを買いたくないし、今は人脈や周囲との信頼関係を作る時期なのだ。
「おまえに任せたいのはドラッグストアなどの小売店向けの特販チームだ。細分化する中でも規模はさほど大きくない。おまえをはじめとした若手に任せたい」
なるほど、若手を鍛える場としたいのだろう。それならば、俺がトップでも不満は出づらいかもしれない。
「今が五月だから、六月には公にしたい。夏頃には始動すると思っておいてくれ」
父の中では決定事項のようだ。おそらくは管理職も知っているだろう。
それならば、俺も腹をくくった方がいい。
「わかりました。頑張りたいと思います」
力強く答えると、父が満足そうにうなずいた。
正直に言えば、わくわくしていた。
俺はトップに立つ男ではないと思っていた。兄を支える立場がふさわしい。
しかし、やはり責任ある立場に抜擢されるのはひとりの人間として嬉しい。如何なく能力を発揮する機会をもらえるのは嬉しい。
夏と言ったらすぐそこだ。先のようであっという間のようで、心が躍る。
帰ったら柊子に話そう。
熱心な口調に、俺は息をのんだ。
「そのうちひとつをおまえに任せたいと思っている」
「社長、俺はまだ入社四年目の若造ですよ」
出世はあまり早くない方がいい。妬みや嫉みを買いたくないし、今は人脈や周囲との信頼関係を作る時期なのだ。
「おまえに任せたいのはドラッグストアなどの小売店向けの特販チームだ。細分化する中でも規模はさほど大きくない。おまえをはじめとした若手に任せたい」
なるほど、若手を鍛える場としたいのだろう。それならば、俺がトップでも不満は出づらいかもしれない。
「今が五月だから、六月には公にしたい。夏頃には始動すると思っておいてくれ」
父の中では決定事項のようだ。おそらくは管理職も知っているだろう。
それならば、俺も腹をくくった方がいい。
「わかりました。頑張りたいと思います」
力強く答えると、父が満足そうにうなずいた。
正直に言えば、わくわくしていた。
俺はトップに立つ男ではないと思っていた。兄を支える立場がふさわしい。
しかし、やはり責任ある立場に抜擢されるのはひとりの人間として嬉しい。如何なく能力を発揮する機会をもらえるのは嬉しい。
夏と言ったらすぐそこだ。先のようであっという間のようで、心が躍る。
帰ったら柊子に話そう。



