「うん、本当に別人みたいね」



「これならバレないだろうな」




黒の髪と目。そして前髪は重めで、目元があまり良く見えない。




「さらに、このメガネを掛けたら完璧だよ」




渡された黒縁メガネをかける。




「あ、目が小さくなった」




どんな細工があるのか、メガネを掛けると目がキュッと小さく見えた。




「よし、これで誰も彩実ちゃんだなんてわからないわ!」




鏡に映るのは、見たことの無い自分の姿。




黒髪。憧れてたけど、こんな風になるんだ。




自分の変わり様に驚きつつも、これなら誰もあの“篠宮(しのみや)彩実(あやみ)”だなんてわからないだろうな。




「この姿では、“塚野(つかの)(あや)”だからね。本名名乗る時、気をつけてね」




「はい!何から何まで、ありがとうございました!」





明日から、塚野彩としての生活が始まる。




期待と少しの不安を胸に、一日を終えた。