「叔父様、今日まで沢山お世話になりました。こんな素敵な部屋まで用意してくださって」




「気にしなくていい。高校入学のお祝いだとでも思って、遠慮せず使ってくれ」




「ありがとうございます」




高校入学を気に、新しい生活をスタートすることにした。





今まで叔父様のお宅に居候させてもらっていたけれど、ちゃんと将来自律できるように一人暮らしをスタート。




今日は引越しの日で、叔父様とその奥様が着いて来てくれた。





「あ、そうだ。これ、制服だよ」




「あ!ほんと!ありがとうございます」





大きな箱に入ったのは、綺麗に折りたたまれた転入先の高校の制服。





星桜(せいおう)学園の制服は、やっぱりかわいいね」




「はい!」





黒のジャケットに黒ベースのチェック柄ネクタイとお揃いのスカート。





「あんなに高い学費、全額負担して下さってありがとうございます」





星桜学園はいわゆるお金持ち校で、あらゆる企業とか財閥の御曹司が集まる。





本来、今の私なら通えるはずない高校だけれども、叔父様と学園長の計らいで特別入学させていただけた。





学園長からは、ぜひに!と言って貰えて、こちらとしても嬉しかった。





いろんな手続きが大変で、入学は2学期からになってしまった。




「で、約束は覚えてる?」




「はい。変装、ですよね」





唯一、叔父様たちと星桜学園に入るにあたってした約束。




それが、変装。




かつては令嬢だった私は、いろんな企業が開くパーティにも度々参加していた。そのため、私の存在を知る人たちは少なくない。




一度没落した家の娘がなぜ星桜学園にいるのか___





そうして変な噂が立てられないように、変装して学校に行くことになったのだ。






「彩実ちゃんの髪と目は目立つからね。隠さないとすぐバレちゃう」





お母様がイギリス人であった遺伝で、髪は金に近い茶色をしてる。そして、それと同じ色の瞳。




この色合いはすごく珍しいらしい。





「これ、ウィッグとカラコンね。これがあれば、たぶん大丈夫だよ」




「ありがとうございます。ちょっと付けてきますね」




新しい洗面所の大きな鏡を見ながら、ウィッグを被って、カラコンをつける。





「どうですか?」