〜引き続き捜査本部〜

「妻の千佳ですが、昼過ぎに車で出かける所を近所の方が見ていました。平日は、よくその時間帯に出かけている様です。行き先はまだ分かりません。夕方、近くのスーパーマーケットで、買い物をしていることも分かりました」

「それだけ?」

「えっ?」

「出かける時の服装や、スーパーでの服装とか、どんな会話したとか、色々あるでしょう?…ったく、やる気あんのアナタ💢」

「すみません。確認して来ます💦」

「富士本さん、マスコミ通じて情報得られないかなぁ?」

「広報班、信頼できるスジくらいあるだろう。やってみてくれ」

即決する富士本。
ウィンクする咲。

「次、お願い」

「あっ、はい。娘の七海ですが、昨日は体調が悪いと言って、午後は早退していました。七海は休んだことも無かったので、担任は珍しく思ったとのこと」

「変だな。近所の話では、昨日は誰も帰って来なかったと…」

自宅周辺の聞き込みをした捜査員が呟き、全員が彼を見る。

「あ💦二階の窓が空いていたので、お隣さんが何度か回覧板を届けに行きましたが誰も出ず、雨になっても窓はおろか、洗濯物も出しっ放しだったと」

「自宅二階の部屋は雨に濡れてひどい有様で、洗濯物もそのままでした」

と別の捜査員が付け加える。

「その他、自宅には特に変わった様子はなく、近所中が、羨やそくらい仲の良い家族で、愛想も良かったと証言しています」

「仲の良い家族が、あんなことはしない❗️とにかく、二人の足取りを徹底的に調べろ。自宅周辺や学校周りの聞き込みと監視カメラの確認を!」

捜査本部長である三上が、ここぞとばかりに指示を出す。

「草薙慎吾は?」

「はい。放課後、部長を務める将棋部にいましたが、学校側が豪雨で帰宅指示を出した為、いつもより早く学校を出ています。いつもは図書館で待っている七海と一緒に帰っていた様ですが、昨日は一人。いつもより一つ早い例のバスで」

全員が彼の成りの果てを思い出し、沈痛な面持ちになる。

咲と富士本を除いて。