「ほらよ」
ホットコーナーでアイスコーヒーを奢る。

「サンキュー!」

「恥ずかしいところを見せちまったな」

咲の情報により、捜査班が割り振られ、一気に操作が動き出したのである。

「いえ、私こそすみません💦」

「しかし、あれだけのことを一晩で?」

「我慢できないのよね私って、アハハ」

そこへ鑑識班の一人が慌てて入って来た。

「咲さん!あっ、富士本刑事💦信雄の検死結果が出ました」

苦笑いの富士本。
急いで本部に戻る。


「笹原信雄の検死結果を報告します。死因は…は、頭部挫傷によるものと判断されました。」

「事故死ってことか」

「ちょっと待ってよ!」
 咲の声が響く。

捜査員達の目には、期待感が表れている。

(参ったな、指揮ってやがる)
 ニヤリと富士本。

「死体をどう刺したら、あんなに返り血を浴びるわけ?」

「何度か凶器を振りかぶった時に…」
言いかけた鑑識班の彼が、やめた。

「激しい雨の中で、それは考えられねぇな」

「現場周辺の監視カメラは、どうなの?」

「全ての監視カメラを見ましたが、落雷の影響で一時的に停電になり、全滅です。」

「目撃者もいないの?」
ダメと思いつつも聞いてみた。

「事故自体は、たまたまバスの後ろにいた車からの情報で分かりましたが、二人が跳ねられたこと自体、目撃者はなしです」

激しい豪雨の中、歩行者も車も少ない。
また、落雷、そして停電。
事故に気づいた時には、バスが横転し、滑ることで、大きな水の壁も出来ていた。

「ん〜とりあえず、分かった事まとめましょ」

「そうだな、各班報告を」(三上)

「千佳は、自分が殺したとしか話しません」

「七海は、何も覚えてないと。医師の診断も受けましたが、ショックから戻れていない可能性があるとのことです」

(ショックねぇ…?)
咲だけは、そこに疑問を持っていた。
あの微笑みである。

「バスの運転手は、意識は戻りましたが、雷とトラックに接触されたこと以外は、覚えていないと。会社に聞いたところでは、若いのに社交的で、休んだこともなく、真面目な青年だと言うことです」

「亡くなった宅配便の豊山は、あの周辺を担当して、もう5年。特にトラブルもなく、お客さんの印象も良かった様です」