「わ、分かった」


蒼井くんを私の部屋に連れてきた。

蒼井くんを部屋に通すのは初めてじゃなくて今までも何回かあったけど、やっぱり自分以外の人がいるとどこか落ち着かない。



「えと、それで話って?」

「あぁ。莉愛ちゃんに確認しときたいことがあって」

「?」


ソファに腰を下ろした私の隣に座る。




「俺との婚約を破棄にしたい、とか思ってる?」


「…え?」


「そんな顔しないでよ。別にそう思っててもなんともないから」


「だけど」と言葉を付け足す。



「莉愛ちゃんがそんなことしたら、両親は落ち込むし俺の親の逆鱗に触れると思うよ」


蒼井くんの綺麗な指が顎に触れて、クイっと軽く持ち上げられる。


ー…トクン

色素の薄い瞳が私を捕らえる。



「まぁ莉愛ちゃんはそんなことしないと思うけどね」