だから通学にも車を使わないで、わざわざ自分の脚を使って通っている。



まぁお母さんは「乗っていけばいいのに」って言うけど。



したいことはさせてもらってるし、今のところ不便なことはない。


だけど……


唯一この「結婚」がわたしの足枷になっている。



本当は自分の好きな人と結ばれて、幸せに暮らしたい。


でも将来的にそれはできないから。

もう叶わないからただ諦めるしかなくって。



なんで自分が来栖家の長女として生まれたんだろう……って何回も思ったし泣いた。


今更変えられないのが現実だからほぼほぼ受け入れてるけど。



大人しくソファに座ると、目の前には蒼井くん。


ニコっと愛想の良い笑みを向けられて私も同様に微笑んで返した。



こうやってみるとやっぱり顔が整っていると思う。