「ただいま〜」
「あ、おかえり。なんか今日遅くね?」
家に帰ると弟の陽貴(はるき)が出迎えてくれた。
陽貴は中学2年生で成長盛りの時期。
どうやら最近好きな子がいるみたいで恋愛真っ只中。
「あ〜…うんまぁちょっとね…あはは」
思い出したくもないあんな記憶!
「ふぅん。あ、そういえばあの人来てるって母さんが言ってた」
あの人?
考えるよりも先に陽貴が口を開いた。
「たしか蒼井って人だったっけ。居間にいるから早く来いだってよ」
「…うん。わかった」
あの人っていうのは私の婚約者の「橘蒼井」(たちばな あおい)
蒼井くんのお父さんは世界的に有名な政治家で信頼性も高くて評判の良い人。
お母さんは有名なバイオリニストで、さまざまな賞を受賞している凄い人。