バレないようにそっぽを向いたけど、渚にはなんの効果もなくて「嘘つき。ちょっとこっち来い」って別の場所に連れていかれる。



ー…着いた場所は空き教室。

へぇ、こんな場所あったんだね。


初めて来たよ。


誰も使っていない教室だからか机の上には埃が被っている。



渚が空いている椅子に座ったから、私もその隣に腰を下ろした。



「で、泣いてる理由は?」


「…っ言えないよ」



まさか渚の嫌いなフィナンシェを作ってきました、なんてことは口が裂けても言えない。



「いーから言えよ」


グっと渚の圧力に押されていとも簡単に折れるのは…わたし。



「渚、フィナンシェ嫌いなの…?」


「さっきの聞いてたのか」


「うん、聞こえちゃって。その…私が作ってきたのもフィナンシェで、、ごめんね!作り直してくるから」