「気にするな」
真剣な顔してあたしの方を見ながらそう言った千鶴さんに、何でかわからないけどドキンと胸が鳴った。
真っ直ぐあたしを見る千鶴さんに、“雪乃”と名前を呼んだ千鶴さんに、ドキドキと心臓がうるさくなる。
「千鶴さん、」
「余計なことは考えなくていい」
千鶴さんはそう言うと今度は昴さんの方を向いた。
「昴」
「何だよ」
昴さんは不機嫌そうに千鶴さんを見つめ返す。
「ここにいろって言ったのは俺だ」
「・・・っそうだとしても知らねえ奴がいると疲れんだよ」
「嫌ならお前が下行け」
「あ?」
千鶴さんの言葉に昴さんの目が変わった。
千鶴さんがあたしを庇ってくれてるのはわかる。
だけど、それと同時にそれは少し横暴にも思えてしまう。
少なくとも、昴さんからしたらそう思ってしまうと思うんだ。
知らない人が自分の落ち着ける場所に勝手に居たらそれは誰だって嫌だと思うんだ。
人見知りなら尚更。



