そもそもあたしが一目惚れされるようなタイプじゃないし、例え、百歩、いや一億万歩譲ってあたしのような人間に一目惚れしてくれるような人が居たとしても、してもだ。
それは絶対に千鶴さんではない。
それは千鶴さんの容姿や立場、そういうものを抜きにしてもだ。
「それは絶対にないよ」
「何でよ?」
「だって・・・」
そういうものを全部抜きしても、千鶴さんがあたしに一目惚れなんてものは見当違いだ。
だって、あたしに興味があると言った時のあの瞳、そこには恋情なんてものは一切混ざっていなかった。
あるならば無。
感情のないような瞳で興味があると言った千鶴さん。
興味があるという言葉の意味はわからないし、何故あんな瞳でそんなことを言ったのかもわかないけど、千鶴さんがあたしに向ける感情があるとするならばそれは無かただの興味。
もしかしたら自分達とは程遠い地味な女に興味があるだけなのかもしれないし。
だからあさみの思ってるような事は一切ない。
「きっと気まぐれだよ」
自分でそう言いながらも胸はチクッと痛んだ。
痛いから、心がチクリと痛むから、
この会話を終わりにしようとしたあたしにあさみがそれ以上何かを言うことはなかった。



