「送るよ」
そう言ってくれた楓也さんにあたしとあさみは首を横に振る。
「大丈夫です」
「でもこの辺は危ないから」
「いつも二人で帰ってますし本当に大丈夫ですよ」
この辺りは治安が悪いって訳では無いけれどやっぱりガラの悪い人達は居るようで。
楓也さんは「送る」と何度も言ってくれたけれどあたし達はそれを断った。
だってそれはあまりにも悪い気がしたから。
普段はあさみと途中まで一緒に帰ってるし今までガラの悪い人達に絡まれたことも無いし、何よりこの街の王様達に送ってもらうっていうのはあまりにも気が引けたから。
「・・・本当に大丈夫?」
「大丈夫です。ご心配ありがとうございます」
「気をつけてね、あ。何かあったらすぐ連絡して」
「はい・・・」
最後まで心配そうにしていた楓也さんは自分の携帯番号をあたしとあさみに教えて何かあったらすぐに連絡するという条件で二人で帰ることを許可してくれた。
楓也さんて意外と心配性なのかも。



