君ありて幸福 【完】

その声に思わず千鶴さんの方へと目を向けると漆黒の瞳と目が合う。

何でかわからないけどその瞬間ドキドキと鼓動が早くなった。


「お酒、飲めないです。まだ未成年ですし」

「···そうか」

あたしの答えに少しだけ、本当に少しだけ千鶴さんが笑った気がした。

初めて見たその笑みに、ギュッと胸が締め付けられたような痛みを感じた。

その痛みは何度か心地良くて、ずっと感じていたいような気もしたけど···




「真面目かよ」



馬鹿にしたような棘のある声にそうしては居られなくなった。