「ちょっとちょっと、どういう事···!?」
楓也さんに呼ばれてこの二階のソファ席に来たあさみは楓也さんの隣に座ったものの体を随分とあたしの方へと傾けて小声で話す。
だけどその雰囲気からすごく戸惑っていることが見て取れた。
「なんでここに私たちいんの?この状況は何!?」
「あたしにもよくわからない···」
「は···!?」
「何かここにいろって···」
「超ヤバいんですけど···!」
「ヤバイって···、」
目を輝かせているあさみは楓也さんに何かを話しかけられて頬を染めている。
「···」
ヤバイはヤバイ。
この街の王様に、その人の隣に座っているんだから。
だけどそれはいい意味のヤバイではない。
皆から歓声を浴びて、尊敬や憧れの眼差しで見られている人達。
そんな人達の中にあたしが居ていいのかな。あたしが千鶴さんの隣に座っていいのかな。
いいわけない。
あたしも他の人と同じ様に千鶴さんを綺麗なカッコイイ人だと思う。
こっちを、あたしの居る方を見ないかなって二階席を見上げたこともある。
だけど、だからこそ。
今のこの状況はとても緊張する。



