君ありて幸福 【完】



「雪乃はもっとはっちゃけていいの!どうせすぐ家に直行するんでしょ!?なら一緒に行こうよ!楽しいよ?」

「楽しいの?」

「楽しいよ、みんな自由だし、そんな深く考えなくていいんだって」

「うーん···」



確かにあさみの言う通りあたしは特に用事がない日は家にすぐに帰っている。

別にそれに意味があるとかじゃなく、用事がいなら家に帰るしか選択肢がないからだ。

もちろんあさみや他の友達と遊んで帰る事はあるけれどそれも毎日って訳じゃない。



だけど家に帰っても結局は一人。

両親はあたしが幼い頃に離婚して今は会社経営をしている父親と二人暮し。

ある程度実力と知名度のある父親の会社は今や日本でトップ10に入るんじゃないだろうか。


父親は仕事人間でたまにしか家に帰って来ない為、広いマンションの部屋でいつも一人で過ごすのが当たり前になってきている。




「ねっ、行かない?雪乃」



あさみの誘いに揺れるあたしは、少しだけ、寂しいのかもしれない。