サラッと楓也さん言ったけど、なに、ここって千鶴さんのお父さんが経営してるの?
でもだから千鶴さんのいるこのソファ席は何か高級感漂ってるの?
千鶴さんってお家も凄い人だったの?
「だから弁償はいい」
驚くあたしの横で千鶴さんが静かにそう言った。
「でも···、」
「しつけえぞ」
「···」
鋭い瞳で睨まれて小さく頷いた。
とりあえず弁償はいいみたい。
なら早くここから立ち去りたい。
「あの、あたし行きますね···グラス本当に申し訳ありませんでした」
失礼だってわかってるけど早口気味でそう言い立ち上がろうとすれば
「······っ!」
あたしの手首を千鶴さんが掴んだ。



