人違いってなに、え? ますます訳が分からずに困惑していると千鶴さんが少しだけ体をあたしの方へ向けた。 「お前、名前は」 「え···」 どうして名前なんて聞かれてるのかわからない、だけど自然と口は動いていた。 「黛雪乃です···」 「···そうか」 それっきり千鶴さんは一分間黙ったままだった。