そんなあたしのすっとぼけた返事に更に千鶴さんの眉間に皺が寄った。
綺麗な顔の人って怒ると怖さが物凄いなぁ。
なんて呑気に考えているあたしに千鶴さんは再度不機嫌そうに言う。
「だから、どうしてここにいんだって聞いてんだよ」
「どうしてって言われても···」
「なんだよ」
「あさみに、友達に連れてきてもらったんです」
「···」
「···」
千鶴さんの表情が更に厳しくなった。
「そういうことを聞いてるんじゃねえよ、目的はなんだって聞いてるんだよ」
「目的って言われても···」
地を這うような千鶴さんの低い声に、ブルりと体が震える。
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。
目の前で長い足を組み睨むようにあたしを見る千鶴さんに今すぐここから逃げ出したくなる。泣きたくなる。
なんであたしがここに連れてこられたのかもわかんないし千鶴さんが怒ってる理由もわかんないし、本当、帰りたいよ···。
「目的なんてありません···ただ誘われて、来てみたら楽しくて···それだけです···」
少しだけ声が震えてたかもしれない。



