え、手当て? 誰の、と考えるよりも早く楓也さんが立ち上がった。 「救急箱、取ってくる」 そう言ってコの字形のソファの後ろにある黒いドアの向こうへ消えた楓也さん。 あたしはポカンとするしかなかった。 「君、手見せて」 そう言った楓也さんが救急箱を手に持ってソファへ戻ってくるまで千鶴さんとあたし、そして昴さんの間に会話はなかった。 昴さんは何かこっちを睨んでるし怖い。