「ち、千鶴さん⋯」




白蘭高校の白を基調とした高級感溢れるブレザーの制服を緩く着崩しながらも見事に着こなしている千鶴さんにドキンと心臓が脈打った。

久しぶりの千鶴さんに加えて初めて見る制服姿に見とれていると、




「お前何して⋯」



千鶴さんの困惑した様な声が聞こえてハッと今の状況を思い出す。




「千鶴さんに⋯会いに来ました」

「は⋯、」


私の言葉に驚いた表情を見せた後切なそうに顔を歪める千鶴さんにやっぱり迷惑だったかもしれないと弱気になる。

あの日千鶴さんの話を聞かずに振り切ったあたしが今更会いに来たって迷惑なだけ。

それも振った相手だ。

だんだん自分がしている行動が間違っている様に思えてきて自信をなくす。



だけど、もう逃げる事は⋯⋯⋯したくない。



告白しに会いに来たんだから、それを遂げるまでは、弱気になってはダメだ。







「お願いします。勝手だってわかってます。だけど⋯話を聞いてもらえませんか⋯?」




バッと頭を下げたあたしに周りの生徒は更に騒がしくなった。

目立つ千鶴さんに向けて目立つ行動を取ったあたしにグサグサと好奇の視線が刺さっている事は頭を下げていてもわかった。




「⋯わかった。移動するぞ」



その視線に千鶴さんが気づかない訳もなく、静かにそう言った千鶴さんはわたしに背を向けて歩き出した。