「後、悔⋯？」
「うん。今こんなに苦しくて辛いのに、千鶴さんを好きにならなければ良かったとか、出会わなければ良かったとか思わない？」
「⋯⋯」
「そうすればこんなに苦しくないのにって」
「⋯⋯」
「思わないの？」
「⋯あたし⋯、」
あさみの言葉に、あたしはゆっくりと首を横に振った。
「あたし、出会わなけれ良かったとかそういう事は思わない。思えないよ」
「⋯⋯」
「確かに今すごく苦しいし辛いし、一瞬はこんな苦しいならって頭を過ぎったりしたかもしれないけど⋯、でも⋯」
「⋯⋯」
「でもやっぱり最終的に出会わなければ良かったなんて思えないよ」
千鶴さんに出会わなければ良かったなんて。
好きにならなければ良かったなんて。
そんな事思えない。
