「あさみ⋯?何でそんな顔するの」
「雪乃、嘘ついてる」
「嘘⋯?」
首を傾げるあたしに更に表情を鋭くさせるあさみ。
あたし、嘘なんて吐いてないのに。
「嘘じゃないよ、本当に美味しいよ?」
もしかしてこのお菓子を美味しいと言ったのを嘘だと思ったのだろうか。
でもそれは嘘なんかじゃなく本心で、もう一度そう伝えるとあさみはいきなり「あ"ーーー!」と奇声を発した。
「あ、あさみ?どうしたの?いきなり」
「私が言ってるのはそういう事じゃない!」
「ん?」
「雪乃、美味しいとか言いながらすっごい怖い顔してんの!」
「こ、怖い顔?」
あさみは「そう!」とビシッとあたしの方を指指す。
「美味しいとか言いながら全然そんな顔してない」
「へ⋯」
「眉寄せて、難しい顔して、泣きそうな目してる」
「⋯⋯!」
「ここ最近、いつ見てもずっとそんな顔してる」
「⋯⋯」
「雪乃は笑ってるつもりかもしれないけど全然笑えてないよ」
あさみの指摘にビクッと体が跳ねた。



