時刻は二十時とそんなに遅くはないけど人通りは少ない家までの道のり。 そんな道を歩きながらもうすぐマンションが見えるって所まで来た時あたしはある人の姿を認識して思わず足を止めた。 「⋯⋯っ」 その人との距離僅か三メートル。 街灯の影に立っていたからこの距離になるまで気づかなかった。 気づいていれば引き返すことも出来たのに。 「っ」 どうして。 どうして。 僅かに震える体にグッと力を入れる。 それでも体の震えは止まってはくれない。 どうして。 「雪乃」 どうして千鶴さんがここにいるの⋯。