千鶴さんはどうして⋯、 どうして電話なんてかけてくるんだろう。 お父さんも、千鶴さんも、千鶴さんのお家の人も皆この婚約の話を知っていた。 知らないのはあたしだけだった。 もしかしたら千鶴さんは婚約の事も破棄になった事もあたしが知らないままだと思ってるのかもしれない。 でも、例えそうだったとしても、婚約を破棄したのは千鶴さんだ。 どんなつもりで電話なんてかけてくるの⋯? どうして⋯。 もう、千鶴さんの事がわからない。 何もかも、わからない。 わからないよ⋯⋯。