君ありて幸福 【完】




部屋が真っ暗だったから普段の何倍も眩しく光って見える画面に思わず目を細めようとした瞬間、目に入ってきた名前にドクンッと心臓が大きな音を立てた。






千鶴さん





着信を知らせる画面にハッキリと記されたその文字。





「⋯っ」




ドクドクと鼓動が速さを増す。



声を聞いた訳でも顔を見た訳でも言葉を交わした訳でも触れた訳でもないのに。

ただ名前を見ただけで目頭が熱くなっていく。


よくそんなに毎日毎日泣けるなと自分でも思うけどどうやら涙は枯れる事はないみたいだ。




今日もまた、ツーッと頬を流れた。