君ありて幸福 【完】




「好きっ、なのに⋯」

「雪乃⋯」

「千鶴さん、の事っ⋯好きなのにっ⋯」





あたしの初恋は儚く、切なく、呆気なく、散っていった。






「雪乃っ⋯泣いていいよ」

「う"っ、ん⋯」

「ってもう泣いてるね」

「ううー⋯、うっ⋯」

「思いっ切り泣いていいよ、泣いていいから雪乃」




そう言ったあさみも瞳から大粒の涙を流していた。




その夜あたし達は一晩中泣き続けた。



涙を流すなんて表現では足りない様に、まるで赤子の様に、延々と泣きじゃくった。