ようやく涙も止まり始めたのは十分以上経ってからだった。
ハンカチ、洗って青木くんに返さなくちゃな。
青木くんの温かさを表すような淡い黄色のハンカチを見て思った。
「雪乃?少しは落ち着いた?」
「うん⋯ごめんね、それとありがとう」
「この後どうする?ていうかウチ来なよ」
「え?」
ありがとうという意味を込めて微笑むとあさみも優しく笑ってくれたけれど思いもしなかった言葉に目が点になる。
「⋯今から?」
「今から。心配なんだもん。一人にしておけない」
「でも⋯」
あさみの言葉は有難いものだけど⋯だけど青木くんと過ごして居たのにそれを邪魔するのはと思い一瞬だけ青木くんの方を見るとバチッと目が合ってしまった。
やっぱり迷惑だろうから嫌な顔をされると思っていたのに青木くんは嫌な顔をするどころかどことなく先程のあさみを感じさせる優しい笑みを浮かべた。
「俺も今の雪乃さんを一人にして置けないですから、そうして下さい」
「青木もそう言ってるし、変な事は考えなくていいから。だからほら、ウチ行くよ」
そう言いながらあたしの腕を掴み歩き出すあさみ。
青木くんはあさみの家まで送ってくれるらしくあたし達の一歩後ろを歩いている。
こうしてあたしはあさみの家へとお邪魔することになった。



